旅のお話その28




    乾いた砂にまいた水のごとく、一気に吸い込まれていきます。

    「・・・・熱いなぁ。どしてこない熱いんだろか。」

    (2名はジュースを飲んでいるが、沈黙。そして)

    「うん、熱いな。まあ、沖縄やけんな。」

    返す言葉もなく、またしばし沈黙。
    ふと、土産物屋の出入り口近くの棚を見ると、見たことのないキ
   ャラクターグッズがおいてある。琉球カトちゃん(言わずもがな、
   一世を風靡したザ・ドリフターズのメンバー)、琉球リカちゃん等
   があり、今、NHKの朝の連ドラ「ちゅらさん」にでてきた「ゴー
   やーマン」によく似たもの(実際には別の商標名だったと思います
   が)も陳列されていました。    
        
    ここで思ったのが、本土ではそれぞれ独立したキャラクターが、
   ほとんどすべて、琉装だったり、その商標が、「沖縄〜」「琉球〜」
   となっていたことでした。この理由も後々わかることになるのです
   が、ちょっと当惑した部分でした。

    一息ついてから、Tさんに案内されるがままに、通路を歩いて
   いきました。

    「少し歩くとね、太平洋戦争中に使った魚雷がおいてあるんです
    よ。そこまで行きましょうね。そこから少し歩くと、今度クリン
    トンさん(言わずとしれたアメリカ大統領)が来る予定になって
    いる平和の礎がありますよ。」

    ふんふんと納得しながら細い路地を通っていくと、円形のホール
   のようなところに出てきました。     

    しかし熱い。とにかく熱い。熱いだけではありません。強烈な熱
   光線の輻射があります。おまけに、クリントンさんの演説のリハー
   サルの関係で、地球・日本・沖縄ををイメージした円形のオブジェ
   からは炎が出ている。その炎が熱くてなかなか近寄れない。
     
    そこにいたのは10分くらいかな。いやぁ、出るわ出るわ。汗が
   とめどなく。空気が澄んでいる上に、低緯度、琉球石灰岩で出来た
   石畳からの強烈な照り返しで、気分は、フライパンの上の卵だな。

    とりあえず写真だけ撮って、そこからはそそくさと退散しました。
    中央の通りをまっすぐ抜けると、戦没者の氏名を刻んだ石碑群が
   並んでいました。膨大な数です。そのすべてにびっしりと名が刻ん
   でありました。皆、無言のままでした。
 
   「それじゃ、次のところへ行きましょうね。次は、ひめゆりの塔で
   すね。ここも是非見てもらいたいところです。」

    Tさんに案内されるまま、次の目的地へ向かいました。

   

(続く)



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最終更新日 2001.7.14