旅のお話その27





    各都道府県の慰霊塔が続く中、徳島の塔を見つけました。
    墓前で合掌し、塔の周囲を見たぁ、徳島の50市町村の名前が青石に刻まれとり
   ます。もちろん、塔本体も、大きな青石でした。

   「やっぱり、遠く離れた場所で、聞き慣れた地名を見ると、感慨深いものがあるね。
    この青石って、徳島から運んできたんだろうか。たぶん船だろうけど。そういえ
   ば、沖縄って、徳島から1000キロメートルぐらい離れてるんだよな。」

    やて話をしもって歩いていったぁ、丘を一番上まで上がった見晴らしのええとこ、
    さっき話に出ていた黎明の塔にたどり着きました。

  T  「ここでも、当時の軍の司令官が、集団自決しています。じゃ、もどりましょ
     うね。」
  わい 「そうですね。歩くとは言ったものの、やっぱり熱いね。日陰でいると、ホント
     涼しいですよ。気温は確か32度前後でしょ。やっぱり太陽光線なんですよね。
      この暑さは。」
  T  「ははは、まあそういうことになりますね。大丈夫ですか。熱中症になってま
     せんか。」
  わい 「ええ、なんとか大丈夫です。ですが、少し休んでいきましょう。Tさんは、
     暑さには慣れていると思うんですけど、沖縄の人でも熱中症になりますかね。」
  T  「そうですね。多少はなりにくいとは思うんだけど、配達とかしてる人は良く
     なるって言う話を聞きますね。炎天下で無理をすると確実になりますよ。熱中
     症。」 
  わい 「はぁ、やっぱりそうなんですね。いやね、昼間のちょうど今頃、だいたい正
     午から2時、3時にかけてですか、木陰で車を止めて、何にもしないでじーっ
     としている人を何人も見たんですよ。あれは、やっぱり、熱中症にならないた
     めにやすんでいるんでしょうね。」
  T  「ああ、そうですよ。だいたいそうですね。だから、帽子も必需品なんですよ。
     本土から来た人は、日差しの強さがわからないから、たいてい無理するんです
     よ。海水浴もそうかな、たいてい昼間に泳いでいるのは本土から来た人ですね。
      それで、ひどい日焼けで、っていうかもうほとんどやけどに近いんですけど、
     毎年何十人も病院に運び込まれてます。そんなわけで、地元の人間は海水浴な
     んかあまりしないし、泳いでも、朝のうちか、日が暮れてからですね。はい。」
  わい 「ふふふ、泳がないで、ビーチパーりーでしょ?」
  T  「え、ビーチぱーりー? あはは、よく知ってますね。夕方になって気の合う
     者同士が寄ってバーベキューをよくやります。だいぶ沖縄のことを勉強してま
     すね。」

     一息ついたとこで、また駐車場に戻ることにしました。途中、売店に寄ったん
    ですわ。とにかく熱いけん、買う物は決まってます。ポカリスエット、アクエ
    リアス。健康飲料になってまいます。この熱さやったら、コーラやそのほかのジ
    ュースのたぐいは甘さが口ん中ぃ残って、よけにのどが渇きそうで、飲む気には
    なれまへんでした。乾いた砂にまいた水みとぉに、一気に吸い込まれていきます。
 

(続く)



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最終更新日 2001.4.24