旅の話その11





    本屋ぃ入ったんやけんど、最初ん入ったとこは、わいが目的とする本はありまへん
   でした。

      「ふぅ、どうもここにはないなあ。」

    店を出て、さらに県庁の方ぃ進みます。ほしたら2軒目を見つけました。中ぃ入っ
   てきょろきょろ。うろうろ。

    入って右の方に、「郷土」って書いたコーナーがある。
    目ぇ凝らして題目を追います。っと、おおっ、あるわあるわ〜。観光名所関係の本
   に埋もれるように、2冊の本を見つけました。

    一冊目を手に取ります。題目を忘れてしもたんやけんど、表紙を開いて中を見たぁ、
   終始例文と発音記号の羅列ですわ。ほんで説明がなんやら堅めじゃわ。

     「ん〜。詳しいんはええんやけんど、どうも初心者向けでないなあ。」
     (今から思たら、あれが「沖縄語の入門」だったんか?)

    うちなー初心者のわいには荷が重いかいな、と思て、ため息混じりで本棚に戻す。ほ
   んでもう一冊に手ぇを伸ばす。
   (これが「語てぃ遊ばぁなシマクトゥバ」です。)

     「おっ、これはあんまりむずかしいのうて、エッセイ調で読みやすいな。けんど、
     細かいことは書いとれへんなあ・・・。」

    2冊を手に取って悩みました。で、結局選んだんが、以前にもお話しした、「・・
   しまくとぅぱ」でした。
    理由は、とりあえずさわりだけでも沖縄を理解したかったけんです。

    で、本を買い、さっそく目を通すための場所を探し始めました。

     「ほういえば、県庁んあたりに公園みたいな所があったな。あそこやったら日陰も
     ありそうじゃ。」

    ほう、そば屋のおばちゃんと、タクシーの運転手さんの言葉を思い出しょったんです。
    こんとき午後2時過ぎ・・。
    日中、炎天下で長時間作業やしたらあかん、と忠告を受けとったにもかかわらず、実の
   ところ、半信半疑でした。
   (日陰で車を止め、何をするわけでもなしに、じっとしよる人をもう何回も目にしとった
   − ほの理由をこんとき身をもって知ることんなる)

    どっちかっっちゅうたら暑さには強いわいやけんど、本屋から外ぃ出たとたんに、天空
   からの強い放射を全身で感じとりました。
    まんで何かで頭のてっぺんを叩かれるみたあに、光線の照射を感じます。(大げさに言
   よんではありまへん。わいの同僚は皆一様に同じ表現をしよんです)
    いままでこんな強い太陽光線を感じたことやなかった。
    ほう思いながら歩っきょったら、なんやら目ぇがチカチカする。日光がきついけんなぁ。
    けんど、なんやら目ぇが痛いような感じもするし・・・。ただ歩っきょうだけやのに全
   身からごっつい勢いで汗が噴き出して止まれへん。

     「アレっ。どないしたんだろ。なんでこない汗が出るんな?」

   やて思いよるうち、なんか頭が重い。

     「いかん。日射病の前兆やな。」

   と直感したわいは、できるだけ日陰の所を通って、なんとか県庁前の公園にたどり着いて
   隠れるように日陰のベンチに座ったんです。

   

(続く)



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最終更新日 2000.08.27