旅の話その4





   はいさい。旅ぬお話ぬ続きぐぁさびら。

   「あいっ、くりがすーきすばやっさー・・・」
   (ほう、これがそーきそばかぁ〜)

    話はかねがね聞いていたのですが、まず、そーきそばを見ての私の第一印象は、
      噂通り、そばというよりも、うどんという感じでした。
    スープは、いわゆる中華そば(あれ、沖縄に中華そばの店ってあったっけ?)
   等に代表される白湯や味噌しょうゆではなく、カツオだしでした。(スープ一口
   飲んでわかりました。)
    そーきは、豚のスペアリブなんですね。箸でつまむとぷにぷにしてとってもや
   わらかい。かなり炊き込んであるようで、骨離れがよい。そして一口がぶり。

    「あいっ! いっぺーまーさん。」    うちなーぐち
    「うぉ! ごっついうまいでぇ。」    阿波弁
    「わぁ! とてもおいしいですね。」   標準語

    甘過ぎず辛すぎず、なんと言ったらいいか。こくがあって、といって口に残ら
    ず・・・なるほど、こういうのを「味くーたー」っていうんだね。
    で、スープなんですが、最初は、なんか味ねーん、と思いつつ食べているうち、
   残り少なくなると、なんだかスープが濁ってきて、いい味になってる。
    あれ、どうして?
    麺は、うどんみたいですね。けど、うどんではありません。讃岐うどんは物心
   ついたときから食べてますからわかるんですけど、何か違います。このときはは
   っきりとはわかりませんでしたが、麺にほのかに色が付いているのにはすぐ気が
   つきました。

    で、なんだかんだといいながらスープも全部飲んでしまったわけですが、いく
   ら考えてもこの料理を的確に言い表す言葉が浮かばない。で、形容するに、

    讃岐うどんときしめんを足して2で割ったものに豚のスペアリブを乗せたもの

    う〜ん、なんかしっくりこないなあ。
    そもそも本土の感覚で解釈しようとするからいけないんだよね。これが、沖縄
   の郷土料理の「そーきそば」なんですね。
    失礼しました。みなさん。

    さて、そーきそばをおいしくいただいて、お勘定となるんですが、ついついい
   つもの感覚でやってしまいましてね・・・

     私    「そろそろ行くで。」(そろそろ店を出ますか)
     2名   「そうやな。」   (そうだな) 

    3名は席を立ち、レジの方へ・・・

     A氏   「すんまへ〜ん、おあいそ〜。」    

   (方言が通じにくいところでぶちかます関西弁での攻撃! 
    横で聞いている分にはおもしろいのですが、場所とタイミングを間違えるとも
   のすごく嫌われるんですよね。  
    板東英二(数少ない徳島出身のタレントです)や笑福亭鶴瓶、明石家さんま
   (いわずもがなの大阪人)等を見るとわかりますが、関西人のわるい癖です。ま
   たそのあつかましさが逆に売りでもあるのですが(^^; )

    おばちゃんは無反応(そんなの当たり前だよね、ここは沖縄なのに阿波弁が通
   じるはずがない)

     私    (あわてて標準語で言い直す)
          「すみません、お勘定、お願いします。」

     おばさん (私が標準語で言い直すとなぜかさらに怪訝な表情になり、
          無言でじーっと私の顔を見る − 私はあれっと思ったが、
          その理由は後に知ることになる) 
          「○○円です・・・。」  

    代金を払って、おばちゃんに道を尋ねる。

    A氏    「あの〜、首里城に行くんわ、どないいったらええんです
          か。」(首里にいくにはどう行けばいいのですか) 
    おばさん  「え?・・・。首里・・・(どうも後の言葉が理解できて
          いない様子)。首里がどうしたの?」
    私     「観光で来たんですが、首里城はここからどう行けばいい
          ですか。」
    A氏    「こっから遠いですか。」(ここから遠いですか)
    おばさん  「観光で来た? 来たの?(後ろからねーねーが何かぼそ
          ぼそと話しかける − 本土からどーのこーの、行くと来
          るが逆と言っていたような・・)あーそうだった。そう、
          来たのかー。」
         (私はこのとき??? − 琉球語関連のホームページを見
                    た人はわかりますよね。私も最初はニュアンスがつかめな
                    かったのです)
           ああ。首里に来るの。遠いよ。来るならタクシーだね。
          外は熱いよ。熱中症になるよ。えーと、ほら、あれだよ、
          ・・サミットで首里はけーさついっぱいだし。」     
    私     「そうですか。歩いてどのくらいですか。」
    おばさん  「えっ、歩くの? 熱いからやめた方がいいねぇ。ん〜・
          ・・。」

   後ろへ振り返り店員のねーねーと会話。おおっ。うちなーぐちで話をしてい
  る、が何を言っているのか十分聞き取れない。口惜しや。

    おばさん  「だー、くまから首里ぐぁちゅーにしが、何分かかるんやー?」
    ねーねー  「あっちゅーみ?」
    おばさん  「だー。あっちゅーみ。」
    ねーねー  「う〜、40分どぅかかるさー。」  と言っていたように思う

    おばさん  我々の方を向き  
          「1時間ぐらい見ておいた方がいいね。」
          (地理不案内な我らやまとんちゅを見て、すこし余分に時
          間を言ったようだ) 
      
    3名   「どうもありがとう。」
    私    (断片的ながら、おばちゃんとねーねーの会話の内容が理
          解できたのでにやにやしながら店外に出る)

    A氏   「おい。どしたんな。にやにやして。」
         (どうしたんだ。にやにやして。)
    私    「いや〜。さっきおばちゃんが時間鯖読んで余分に言うた
         んわかったで。奥の店員のねえちゃんは40分ぐらいって
         いよったんでよ。(笑)」
         (いえ。さっきおばちゃんが時間の鯖を読んで余分に言っ
         たのがわかったかい。奥にいた店員のねえちゃんは40分
         位と言っていたんだよ。)

    2名   「ようほんなんわかるなあ・・」(よくそんなことがわかるな。)
    私    「ほな、首里城に行くで。タクシーさがそ。」
         (では首里城に行くか。タクシーを探そう。)
    2名   「ほうやな。」(そうだな。)
 
   おばちゃんの心遣いというものでしょうか。どこから見てもおのぼりさんの
  見知らぬ我々に、熱中症の心配までしていただいてまたまたうれしく
  なりました。

   さあ、腹ごしらえも終わって、いよいよ首里だ〜。

 

(続く)



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最終更新日 2000.08.10