むずかしいDX






  私の無線ライフは仲間内のラグチューから始まりました。
 もちろん、無線機はモービル機で、アンテナもモービルホイップ。でも、だんだんと飽
きてくるんですよね。 人間って。
 それに、ラグチューも、人間が変わらなければ会話の内容が限られてくる。
 そもそも430FMでDXをやり始めたのはそう思い始めたころなのです。

  「長く無線を続けようと思うなら、やはり、呼び出し周波数で積極的にCQを出した
  方がよい。私たちと関わっていては、無線をする上で発展はない・・・。」

 そう言ったOMさんがおりまして、私のアマチュア無線での原点もそのあたりにありま
す。       
 もっとも、このころは装備らしい装備はもっておらず、金銭的にも厳しいものがありま
した。

  「できるだけお金をかけない。」
 
 このような信条もありまして、まずは一番肝心なアンテナから手を着けました。
  いろんな人から話を聞いて、「アンテナハンドブック」などに代表される書籍も手に入
れ、アンテナの制作にかかりました。1994年の夏のことです。
 そうこうするうちに、給電部が完成し、それに間合わせの導波器と反射器を取り付け、
最初の送信をしたのが、その年の9月。
 手応えを感じ、エレメントの数を増やし、17エレメントの仕様で試験的に運用を始め
ました。
 形式は、同じエレメント数なら最もゲインが稼ぐことができると言われる「ループ八木」
です。

 実は、その完成の一週間後にやってしまったんですよ。

 1994年10月9日午前0時42分、海部郡由岐町から、福井県今立郡の移動局と交
信できたのです。こうなると、もう病みつきになりますね。
 最終的にはエレメント数は30になり、また、同じ物をもう一本作成して、運用するよ
うになりました。結果、2、3、4、5各エリアとは比較的良好に交信できますが、それ
以上はあまりのびないんですよね。原因はいろいろありますが、まずはタイミング。
 タイミングを外したのでは相手がQRVしていないからだめですね。それと、異常伝搬
の発生しやすい天候状態。つまりダクトの発生しやすい状態をうまくつかめれば、という
ことなのですが、そううまいことはダクトには巡り会いません。
 一番いいのは、特に東、北方向にアンテナを向けるときは、日本海で蜃気楼が発生して
いるのがやっぱりグーでしょうね。
 私は、このダクトって蜃気楼のことなんだろうなと考えています。

 で、あれこれとやっていたんですが、そんな努力をあざ笑うかのようなことが起こった
のです。

 1997年5月4日午後4時19分、名東郡佐那河内村から、静岡県田方郡の移動局と
交信できてしまったのです。
 このときの装備が、20ワット送信出力のリグと、ナント1.5メートル長のモービル
ホイップだったのです。RSは、こちらが59、相手からも59でした。むろん、ダクト
の恩恵ですが、モービルホイップで、500キロ先の局と交信できるとは思ってもみませ
んでした。

 装備じゃないんですよねえ。まめに移動運用して、異常伝搬と巡り会えうる機会をふや
せば、きっとチャンスが巡ってくる。

 DXの難しさをひしひしと感じているこのごろです。


  

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最終更新日 1998.05.25